webメディア論の課題とは −コミュニケーションの基本用語

メディア論の課題は、固着してしまった価値の体系が分離させたものを、再び巡りあわせその役割を入れ替えさせることにある。

分離され固定された対立する価値をもつふたつの項を、互いに相手の価値を含んだ両義的なものにすること。

そうした交代の基盤となる媒介項を、固着した価値の対立項のあいだに導き入れること。

 

そしてひとつの媒介項が、また新たな固着した二項対立の一項になってしまうとき、再びそれを両義的にする、新たな媒介項を呼び込み続けること。音、声、装飾彩色されたモノ、あるいは儀式に、手書き文字に、印刷物に、電波を使ったマス・メディアにと、さまざまな「メディア」の特性を比較検討することの意味も、上記の点にある。


つまり各メディアが、どのような言説の再生産流通システムを可能にし、その中で価値の転換ということがいかにして螺旋を描きながら進行しうるようにするか、ということ。


例えば、単一のメッセージを大量に複製し、一方通行的に不特定多数の距離を隔てた人々に送り届け得る、というマス・メディアの特性は、意味を固着させる役割もまた果たしもする。


私たち大衆のもとに繰り返し送り届けられる単一のメッセージ。私たちは自分の手元や、ごく身近な人々の間で、その意味をずらしたり、価値をひっくり返したりすることは可能だ。しかし、そうしてずらし、ひっくり返した意味を、他の不特定多数の大衆に、マス・メディアがするような形で送り届けるという機会は得難かった。webメディアが新しいものでありうるとすれば、それはこの機会を多少なりとも広げたことによるだろう。webメディアへの評価も非難もこの点の周りを回っているかのようである。